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「ほっこり」ではなく「じんわり」☆ [読書]

随分昔の話ですが、家の近くに、あるコンビニが出来たんです。
世の中のお買い物の仕方が、変わった時です。
だって、それまで買い物は、昼間スーパーで必要な物を買い、買い忘れてもお店が閉まってしまえば「あぁ〜残念。明日買いましょう」と諦める。
これが、それまでの買い物の仕方・・・・でしたよね。
そんな生活の中に、7〜11時まで開いているコンビニができた。
当初私は、「そんな遅い時間までお店を開けている必要性はあるのか」「長く開けていても、お客さんいないんじゃないのか」なんて思ったものでした。

ところが・・・・

ある日、どうしても必要な物が出来たんです。
時間は、もうどこのお店も閉まってしまった時間。
「どうしよう」って思った時・・・・「あっ[ひらめき]」気が付いた。

「コンビニが開いてる!」

でも、必要としているものがあるかどうかわからない。
なんてったって、コンビニへ行ったことがなかったので、コンビニにどんな商品が置いてあるのか知らなかったんです。(- -;)

自分の欲しいものがあるかどうかわからないけれど、取り敢えず行ってみました。

すると・・・・あったんです。(^^)
そして、コンビニには、色々な商品が揃っていることを知りました。


その時思いました。

「開いてて良かった(^^)」

これ、そのコンビニのキャッチフレーズだったんですけど、その時本当に「正にその通りだ」なんて、家族で感心してしまったことを覚えています。(笑)

そんな事を実感してから、もうどれくらいの年月が経ったのかな?
今では、コンビニの店舗数は増え、営業時間も更に伸びて24時間という眠らないお店になってしまったんですよね。

しかし、品数豊富で眠らないコンビニになっても、どんなに探しても買えないものって世の中にはあります。

どうしても買えないもの・・・・

それは、「過ぎ去ってしまっ事への後悔」であったり、「もう二度と姿を見ることの出来ない相手の気持ち」だったりとか、「突然姿を消してしまった人の行方」とか、「自分への自信」だったりとか・・・・

こういう形のない物の解決方法は、コンビニに限らず、どこへ行っても売っていません。
そもそも買うものでもないです。
でも、人の心の中には、何かしらいつまでも離れず、それを解決する方法も見つからないまま残っている場合があります。
心の中の、ずっとずっと奥深いところで・・・・
そして、どこかで「あの時にもどれないか」「あの人の思いを聞いてみたい」「自分はこれでいいのか」なんて、その答えを探し求めて、先へ進めなかったりすることがあります。

そんな思いを持った人の目の前に、その探しもを売っているコンビニが現れるとしたら・・・・
行ってみたいと思いませんか?


えっ?そんなコンビニがあるわけないって?
あるんです。

風早の街の、駅前商店街の街はずれへ夕暮れ時に行くと、古い路地の赤い鳥居が並んでいる辺りで、その不思議なコンビニを見つけることがあります。

「見つけることがある」

そう。
誰でも見つけられるわけではないのです。
本当に、大切なものを探している人の前にだけ現れる。
その不思議なコンビニは、「たそがれ堂」と言います。

今回紹介する本は、「コンビニたそがれ堂」という本です。


IMG_1301.JPG


この「コンビニたそがれ堂」に出会った人は、どんな人なのか・・・・

ある日、女の子がある男の子にメモ帳を差し出すんです。
その女の子と男の子は、女の子が道端に捨てられていた子猫を見つけたけれど、その女の子のお母さんが猫アレルギーがあり、女の子も多少そんなアレルギーがある為、子猫を飼うことが出来ず、かといって子猫を見捨てることが出来ず困っている時に、男の子が通りかかり、女の子に変わって子猫を飼うことにしたんです。
そんなことから、男の子と女の子はとても仲良くなりました。
しかし、男の子は女の子の差し出したメモ帳を受け取らなかった。
それは、周りの友達を気にして、女の子が差し出したメモ帳を受け取ることができなかった。
そんかことがあった後、女の子はお父さんの仕事の関係で海外へ行ってしまい、会うことが出来なくなってしまった。
男の子は、とても後悔したんです。
その女の子が差し出したメモ帳は、女の子がとても大切にしていていたことを男の子は良く知っていたから。
そんな大切なメモ帳を自分にくれようとしたのに、自分は受け取らなかった。
そのことをとても気にしていた時、男の子は「コンビニたそがれ堂」に出会ったんです。
そして、そのコンビニで女の子のメモ帳を手にするんです。
メモ帳の中には、女の子からのメッセージが・・・・


そして、「コンビニたそがれ堂」に出会うのは、人だけではありません。
動物でも、大切な探し物があれば、このコンビニへ訪れることができるんです。

あんずという猫がいました。
その猫は、野良猫のお母さんから生まれました。
しかし、お母さんは重い病気の為、子猫を残し亡くなってしまいました。
そんな時、一人の高校生の男の子に拾われ、その高校生の家で飼われることに・・・
猫は家族にとても可愛がってもらいました。
けれど、猫は猫のお母さんの病気が既に移っていて、自分の命がもう長いことないことを知っていました。

猫は、死ぬ前に一度でいいから、家族と同じ目線で家族と接してみたかった。
そんな時、「コンビニたそがれ堂」に辿り着き、そこで人間になれるキャンディーを一つ買いました。
このキャンディーには、一つだけ気をつけなければいけないことがあります。
それは、自分が猫であることを言ってしまうと、自分の姿はなくなってしまうということ。

人間になった猫は、家族と一緒に遊んだり、カレーを食べたり、お母さんに感謝の気持を込めて肩もみしたり・・・・
猫のあんずは、とても幸せな時間を過ごしました。
そして、高校生のお兄ちゃんと花火を見に二階へ行った時、星を見ながらお兄ちゃんに、自分は猫のあんずだと告げ姿を消した・・・・


この話を読んだ時、もう泣きました。(T . T)


この本は、第4弾まであり私は2弾まで読みましたが、短編なのでお話にはつながりは無い為、第1弾から順番に読まなくても、自分の興味のある所から読んでも問題はないです。

どのお話も心がジーンとくるようなお話ばかりです。
そして、命あるものはいつか姿を無くす時がくるけれど、でもそれで終わりではなく、姿は見えなくなっても必ずどこかにその人はいるのではないかと思わせてくれる様な本だと思いました。

ほっこりする本を好んで読んでいましたが、今回はほっこりというより「じんわり」という言葉の方が合っている本でした。(^^)

















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うさこ(くまんご)

Mieさんはご本を探すのがお上手ですね!
最近私は株の本ばかり読んでます。。(;'∀')

あんずかわいい。。 まずいです。 なんだか鶴の恩返しみたいですね (違?
鶴も正体を知られてしまうと姿を消してしまいますね。 
あんずちゃんは自ら告白するようですが、、、

このコンビニがあったら 迷わず ももに会いたいです。(TT) この流れにもっていってしまいすみません。

by うさこ(くまんご) (2014-12-18 23:40) 

SHINOBU

すてきな本ですね!
どうやったらこんな本を探せるのか??教えてください(笑)
私も読んでみたくなりました。
こんなコンビニがあったら、ものすごい必死で探すんだけどな~
by SHINOBU (2014-12-19 00:03) 

ナビパ

心がじんわりと温まるお話です。
目がウルウルしちゃいます。
年末年始は読書で過ごそうかな。。。
by ナビパ (2014-12-19 05:48) 

Mie

うさこさん

そうですか?
ありがとうございます。(^^)
本探し、失敗することもあるんですよ。
失敗した本は、ブログに書かないだけなんです。(^^;)

うさこさん、株の本を読んでるって、株やっているのかしら?
私、数字に弱くて判断力ないから株はできないです。
でも、うさこさん・・・・儲けてます?
なんて、いやらしいこと聞いてすみません。f^_^;

あぁ、「鶴の恩返し」的な感じありますね!
ただ、去り方がちょっと違うんです。
「鶴の恩返し」はつうがその場から飛び立って行く姿を見るじゃないですか。
あんずは、自分が猫のあんずだと正体を明かした瞬間「パッと」消えちゃうの。
相手は、何か狐につままれた様な、夢でも見ているような感じに襲われるんです。

でも、この話の続きがあるんです。
猫のあんずは、人間のキャンディーの代金として、自分ちりめん柄の首輪をコンビニに置いていくんですけど、のちに高校生の男の子がその「コンビニたそがれ堂」に出会い、そこであんずの首輪と出会うんです。

もう、泣けますよね。(/ _ ; )


うさこさん、私も「コンビニたそがれ堂」に出会ったら、やっぱり会いたいのはKenです。
そして、聞きたいことがあります。
きっと、うさこさんも、ももちゃんに聞きたいことがあるんじゃないですか?


by Mie (2014-12-19 08:00) 

Mie

SHINOBUさん

ありがとうございます。
この本の中には、この他にも沢山心をじんわりさせられる話が沢山あります。
私は、この猫のあんずの話がとてもいじらしく可愛くてピックアップしましたが、桜の木の話も良かったですし、お互い自分の気持ちは伝えていなかった相手ではあったけれど、いつもそばにいてくれてお互い意識していた相手が、自分に大事な一冊の本を預け、旅行へ行ったまま行方知れずなって10年待ち続けたある日、彼が良く利用していたホテルから預かっているものがあるので取りに来て欲しいという手紙が届き、その直後にその彼がある国の湖から遺体となって発見されたという連絡が友達から知らされるんですけど、これがまた、素敵な出来事があるんです・・・・

もうどれも良い話なんです。

もし、良ければ読んでみてください。(^^)

あっ、このコンビニは必死に探しても出会えないんですよ。(^◇^;)

by Mie (2014-12-19 08:13) 

Mie

ナビバさん

本当に、心をじんわり温めてくれる本です。
今は、本当に殺伐とした事件ばかりが世の中を騒がせていますが、そういう事件を引き起こす人間を作ってしまうのは、ある意味そういう人間を作ってしまう様なドラマであったりゲームが多い様に思うんです。

確かに、本も想像の世界ではありますが、この「コンビニたそがれ堂」はお話の内容は、実社会にあり得るような内容なんです。
よく、子供を愛しているのに上手に子供を愛せない親って実社会にもいますが、この本の中にもそんな話が出てきます。
「コンビニたそがれ堂」は実際にはないけれど、読むことで何かヒントになるような気もするんです。

本は、読み方で薬にも毒にもなりますが、多くの場合生きるヒントが沢山入ってますよね。(^^)

お正月、お時間がありましたら、何かお好きな本を読まれるのもいいですね。(^^)

by Mie (2014-12-19 08:23) 

きなこもち

本当に素敵な本を見つけるのが
mieさんお上手ですよね~(*^_^*)
地元の本屋さんがなくなってから…
会社の昼休みとかに会社の近くの
本屋さんに行くんですが…
なかなかゆっくり見れません!
本屋さんってじっくり時間を気にせず
ゆっくり見て回りたいですよね。
本屋さん大好きです!!

ただ…今明日のお三味線のお浚い会の事で
いっぱいいっぱいなので(笑)…
それが終わったら早速mieさんお勧めの
『コンビニたそがれ堂』購入しま~っす!
mieさんが紹介してくれたお話だけでも…
ウルウルしちゃいました!!
今から読むのが楽しみです~(^_-)-☆




by きなこもち (2014-12-19 09:38) 

エンジェル

「コンビニたそがれ堂」面白そうなご本ですね〜私も機会があれば是非読んでみたいです!!今年は整骨院に通う電車の中で案外読書にいそしむ事が出来ました。来年も色んな本を読んでみたいと思っています。Mieさんのお奨めの本も楽しみにしていますね〜♬
by エンジェル (2014-12-19 10:47) 

Mie

きなこもちさん

そういえば、きなこもちさんのお宅の近くの本屋さん、無くなってしまったんですよね。
そう。
本屋さんは、ゆっくりと見て歩かないとダメですよね。
だって、自分が思ってもいなかった様な楽しそうな本と出会ううかもしれませんものね。(^^)

今回の本も、そんな本屋さんの店内散歩中に見つけたんですよ。
でも、この本は第4弾まであったんですけど、全部買うと重いので二冊だけ買ったんですけど、その本屋さん二つ隣の駅にある大きな本屋さんで、次を買いに行くのが大変で、二冊読んで終わってます。(^^;)

でも、本屋さんは楽しいですよね。
我が家は、みんな本屋さん大好き。
家族で行くと、それぞれがそれぞれのところへ行きたいので、本屋さんに着くと、集合場所だけ決めて「解散」するんです。(^^)

いつも、最後に戻るのは私なんです。(^^)

きなこもちさん、三味線の発表会みたいなのがあるんですね。
頑張ってください。(^^)

落ち着いたら、「コンビニたそがれ堂」を訪ねてみてね。
とっても素敵なお話が待っています。(^^)


by Mie (2014-12-19 14:28) 

Mie

エンジェルさん

そうでしたね。
整骨院へ通う時に、本を読まれるようになったって、おっしゃってました。(^^)
「氷点」が気に入ったって以前拝読させてもらいました。

本を読むキッカケができると、次々と読みたい本が出てきます。
「コンビニたそがれ堂」は短編集なので、電車の中で読むのには丁度いいとおもいますよ。
ただ・・・・・
泣けてくる時がありますので、油断なさらないように。(^^)

エンジェルさんも沢山本に親しまれて、何か面白い本がありましたら、教えてくださいね。(^^)

by Mie (2014-12-19 14:43) 

小梅姉

じーんです。
私「フランダースの犬」とか、ハッピーエンドじゃないので
ダメなんです・・・ウル。
子供っぽくって、すみません^^;
by 小梅姉 (2014-12-25 08:06) 

Mie

小梅姉さん

そうなんですよね。
私も、ほわほわする話とか、めでたしめでたしがいいです。
そう!「フランダースの犬」、私もダメ。
泣けて泣けて、声まで出ちゃう。;_;

この本は、想定外の内容だったの。
ここに書いた内容だけでなく、わりとジーンとくる話ばかりなんです。
小梅姉さんには、お薦め出来ないかも・・・・です。(^^;)

by Mie (2014-12-25 15:31) 

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