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中身の濃い話☆ [読書]

昨年の暮れ、あるテレビ番組を観ていたら、映画の撮影中の樹木希林さんの映像が出てきました。
その姿は、割烹着?に白い帽子の様なものをみに着けている姿。
シーンは、あんこを作っているところでした。
タイトルは、そのものズバリの「あん」。

それを聞いた時、「あぁ〜何か老舗和菓子店の話なのかな?」と思い、映画が上映される前に本を読んでみようと思い、本屋さんへ本を探しに行ったんです。
でも、誰が書いた本かもわからず、「あん」題名だけでは探すことが出来なかったのですが、「ならば電子書籍で検索したらあるかもしれない」と思って検索してみましたが、やっぱり見つからない。
そんな事をパパに話した所、パパがネットで検索して探してくれたんです。
(自分だって探せるのに、面倒臭がりで徹底的に探さないズボラな私です。)

パパが検索して本は見つかりましたが、単行本の為1500円したんです。
文庫本では出ていないということで、高いと思いながらもどうしても読みたくて・・・・買いました。

とても読みやすい本なのですが、何分にも年の瀬ということと、単行本の為持ち歩くと重いので出かける時持って歩けず、寝る前にしか読む時間がなかったので時間がかかってしまいました。

でも、読むのに時間がかかってしまったのは、それだけの理由ではないのです。

内容は、確かにあんこが関係していましたが・・・・
甘いものは、人を幸せな気持ちにしてくれます。
でも、ここに出てくるあんこは、とても美味しいれけど、それだけではなくその美味しさの中には人の人生に関わるとても深いお話に繋がっていて、軽く読む事が出来ず、色々な事を考えながら読んでいました。

この「あん」という話は、最初に思っていた「老舗和菓子店」の話ではなかったんです。(´・_・`)

「あん」
著者は、ドリアン助川


IMG_1338.JPG


本の内容は・・・・

過去を持つ辻井千太郎は、「どら春」というどら焼き屋の雇われ店長をしていた。
そこへ、求人の貼り紙を見て雇って欲しいとやって来たのは、74歳になる吉井徳江。
しかし、彼女の手は昔病気をして、その後遺症の為指が曲がっていた。
千太郎は、そんな徳江を見て一端は断るが、徳江の作る「あんこ」の美味しさを知り雇うことにした。
徳江の作るあんを使う様になって、どら春は繁盛するように・・・・
ある日、どら春に良く来ていたワカナちゃんという女の子が、徳江に何で指が曲がっているのか尋ねる。
徳江から病気の後遺症で・・・・と聞いたその日から、ワカナちゃんはどら春へ顔を見せなくなる。
それからしばらくして、徳江の曲がった指の原因となった病気が、ハンセン病であるという噂が街に広がる。
どら春のどら焼きが売れなくり、徳江はどら春を去ることになった。

千太郎は、すでに徳江の病気がハンセン病であることを知っていて、自分なりにハンセン病が人に移らない事をしていたが、徳江が店を去る時引き止めることができなかった自分を責めていた。
徳江がいなくなってから、千太郎はやる気をなくしてしまう。

そんなある日、千太郎は徳江の住む街へ行く。
そこは、ハンセン病になった人を隔離した場所。
ここへ入った者は、全てを無くす。
育った場所も家族も、そして・・・・自分自身も。
そう、戸籍からなくなってしまうのだ。
そして、この療養所で新しい名前をもらい、別の人間として生きて行く。
死ぬまで外の世界へ出ることなく、ひっそりと死んでいく。

でも、今は療養所にいる人はみんな完治しており、外へ出られるように成った。


この療養所で、徳江と待ち合わせた千太郎は、徳江からこの療養所へやってくるまでの話、そしてここでの生活での苦しみなどを聞いた。

徳江の作るあんこがとても美味しいのは、この療養所の中での生活の苦しさから生まれた思いがあったからだった。

千太郎は、どこか投げやりな思いがいつもどこかにあったけれど、徳江と知り合うことで前向きに生きて行く気持ちになる。


と言った様な内容ですが、ラストはとても胸を打つ感じになってます。
あまり、詳しく書くのも・・・・
と思いますので、興味を持った方は是非本で読むか、映画をご覧になってみると良いと思います。


人間は、みな何かしら目的というか、生まれてきた意味があると思います。
これは、本の帯に俵万智さんが書かれているのですが、私も同じことをずっと考えています。
もう何年もというか、何十年も考えてきていたことです。
自分はなんの為に生まれてきたのか、自分は何をすべきなのか・・・・
今も考えています。

そして、この本を読んだ時、「やっぱり、人間が生まれてくることには意味があるんだ」と感じました。

それは、大きな意味でなくても、どんなに小さなことにでも意味がある。

吉井徳江さんは、小さい頃にハンセン病になって親や兄弟から引き離され、自分の戸籍まで奪われ、狭い囲いの中に隔離された人生を余儀なくされた。
周りは、自分と同じハンセン病患者ばかり。
その病状は、軽い人重い人、全てが一緒に閉じ込められていて、同じ病気でも自分以外の人を見るのはとても辛いことだった。
そんな生活の中だからこそ、見えてくる物や感じる事がある。

与えられて環境の中で、いかに前向きに生きていくか。
徳江は、自分の周の目に見える物全てに耳を傾けた。
空や雲や風。
草や木や花。
鳥や蝶や虫。
それぞれに耳を傾け、それらの声を聞こうとしたんです。

あずきもそう。
あずきは、丹波の・・・・とかって私たちはいいますが、徳江はどんなあずきでも素敵なあんに作り上げたんです。
それは、あずきの声に耳を傾け、あずきの望む火の入れ方や蒸らし方を変える。
だから、美味しいあんが出来上がる。

そんな美味しいあんを、みんなに食べてもらうことができ、また徳江の生き方が千太郎を救うことができた。

徳江は、辛い人生だったと思うけれど、徳江の生き方が人の心を動かしたことは間違いない。
それが、徳江の「生まれてきた意味」だったんだろうと思う。


自由に生きられる者には、決して見つけることや感じることが出来ない事を、神様は徳江に与えてくれたんですね。


この本を読み終えた時、いろんな思いがあって、どういう方向でここへ書こうかと悩みました。
内容的に「同和問題」も考えるべきところもあるのでしようが・・・・
でも、いい年して情けないですが、あまりにも難しくて・・・・というか、考えていくと私もただの人間。
優等生な発言は嘘になるので、「生まれてきた意味」を考えてみました。

皆さんは、この話を読んでどんな事を思われるんでしょうね。(^_^)













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ナビパ

中身も中味も濃いお話のようですね。
濃いというのはいろいろ考えさせられることが多く
真実を真実として受け止めて理解することなのかな。。。
私に一番足りないものかも、、、
by ナビパ (2015-01-15 17:57) 

Mie

ナビバさん

想定外の内容に、少々驚いてしまいました。
病気の事は、昔耳にしたことがあったような・・・・ぐらいのことしかなかったのですが、ハンセン病になった人が生きているのに、人間として扱われなかったという事実はびっくりでした。
何も悪い事をしたわけでもない、好きで病気になったわけでもない。
なのに、まるで犯罪者でもあるかのような扱いは、決して受け入れられるものではないですよね。

でも、受け入れられない状況の中でも生きている限り、現実と向き合っていかなくてはいけないというのは、本当に地獄のような日々だったと思います。
だから、とても心が素直で物事の大切さを知る事が出来・・・・そして強い意志を持って生きてきたのでしょうね。

今は、恵まれすぎて周りの景色や自由であることの素晴らしさ、何よりも家族とともに一緒に居られるありがたさなんかを感じなくなってきているのかもしれませんね。

という私も偉そうなことを言えません。
ただ、これでも結構現実を受け止めるしかない辛いこともありましたが、それを自分なりに乗り越えてきた事がありました。
それが、自信にもなっていますが、やはり徳江さんのような現実をぶつけられたら・・・・私も受け止められないです。


by Mie (2015-01-15 18:45) 

SHINOBU

深いですね~
私もいつも思います。「私はなんのために生まれてきたのだろう?」と。。。
答えはそう簡単には見つからないですよね。
私にはもうひとつ考えてることがあるのですが、そっちも答えが見つからないままです。
答えを探すために生きてるようなものだな~といつも思ってしまいます(笑)
by SHINOBU (2015-01-15 21:55) 

うさこ*

映画化されるということでTVの樹木希林さん
見ました
プライベートでハンセン病の?病院へ一人で行かれたときき尊敬しました。
新聞で読んだかもですが、ご自身も病気されて、とても暖かい演技ですよね。
御自分では最後の作品とおっしゃったとか。。(/_;)もっと続けてほしいです
by うさこ* (2015-01-15 22:04) 

Mie

SHINOBUさん

本当に、深い話です。
まさか、餡子から人間の人生まで至る話とは思いませんでした。
う〜ん・・・・
やっぱり、SHINOBUさんも「生まれてきた意味」を考えたりしていたのですね。
SNINOBUさんの日頃のブログを読ませていて、多分こういうことを考えられる方だと思っていました。

そう、私も「生まれてきた意味」を考えてきましたが、最近思うことは、多分死ぬまで・・・・というか、きっと答えはでないと思うんです。
自分ではわからない。
「生まれてきた意味」は、きっと自分で探す物ではなく、周りの人が思うこと・・・・かなと。

生まれてきた意味は、一つじゃないと思うんです。
そして、大きなものでもなく、日々の中にあるんですけど、自分ではそれに気づかない様な事の、ゴクゴク普通で当たり前みたいな事だったりするのかなぁ〜って思います。

私は、手紙を書く事が好きというか、何をするにも必ず手紙を添えるんです。
内容は、本当に大したことではなく近況報告みたいなことです。

でも、私の手紙をもらった方がいうんです。
「宝物」って。
そして、大切に保管してくださっているんです。

うちの母も、私がプレゼントに添えるカードに、母に望むことなどを書いたりしたものを、やっぱり宝物と言ってくれて、自分が死んだら棺に入れて欲しいと言ってます。

私としては、皆さんに何気なくやっていることですが、その手紙で勇気つけられたり、幸せな気持ちになってくださっていると知ることは、とても嬉しく、私も幸せな気持ちになれます。

「生まれてきた意味」って、そんなにたいそうなことではなく、そういう何気ない小さいことだったりするのかなと思います。

後何年生きられるかわかりませんが、少なくても人に迷惑をかけない人でありたいと思っています。

徳江さんも、まさか自分の人生や自分の作ったあんこから、人の心を動かすなんて思わなかったでしょうけれど、千太郎さんの心を動かす事ができたのですから、徳江さんは千太郎さんと出会うために生まれてきたのかもしれないですよね。(^_^)
by Mie (2015-01-16 07:49) 

Mie

うさこさん

うさこさんも、ご存知でしたか。
この吉井徳江さん役が、樹木希林さんがやるとしっていたからではないのですが、本を読んでいると徳江の話し方から、自然と樹木希林さんの顔が浮かんでくるんです。
本当に、樹木希林さんは徳江役にぴったりです。
きっと、いい映画になるんじゃないかと思うんですよ。
是非、映画も見に行きたいと思いますが・・・・
上映される所は、限られてしまいそうですね。

樹木希林さんの最後の作品になってしまうのは悲しいですね。(´・_・`)
でも、最後のお仕事の作品にするとしたら、とても良い作品に恵まれた様な気がします。
樹木希林さんの実力を出せる作品ですものね。(^_^)
by Mie (2015-01-16 07:57) 

きなこもち

mieさんまた素敵な本を紹介して下さって
ありがとうございます。
う~ん深い内容の本の様ですね。
私自身もハンセン病の事・隔離されてた事
同和問題etc知らない事・わからない事が
多いので…まずはその事を知り受け止める事が
必要なのかな…と思いました。

生まれてきた意味…どう生きるか…
私も考えます。答えは確かに出ないのかも
知れませんけど…心にその事をとどめて
毎日生活するのとしないのでは…
全然違う様な気もします。

今月はてんてこ舞い状態なので…
落ち着いたらゆっくり読んでみようと
思います。

by きなこもち (2015-01-16 11:08) 

Mie

きなこもちさん

お忙しそうですね。(´・_・`)
今回ご紹介した本は、今までのものとは全然違い、難しいというか、真剣に考えなくてはいけない事なんだと思います。

ハンセン病は、ライ菌に感染して発症することからライ病ともいわれています。
うちの母に、この本の話をした時「あぁ、ライ病ね。」と言ってました。
昔は、治らない病気、不治の病といわれていたそうですが、その時はまだ薬がなかったからなんですけど、今はちゃんと薬も出来てたとえハンセン病にかかったとしても治る病気なんです。
そして、感染力はとても弱い菌なんです。
このハンセン病の医療に携わっている医療関係の方々から今まで一度もこの病気に感染した人はいないということからも、感染力はとても低いってことがわかりますよね。
それに、家族からハンセン病に感染者がでたら、これは遺伝として家族全員が周囲から避けられたりするんです。
こういうのか同和問題に繋がっているんですよね。
まぁ、私も詳しい事はわからないのですが、今みなさん間違った情報を鵜呑みにしているみたいです。

うちの母なんて「ライ病って、移るから隔離されたのよね。」いうんだけど、その後の事は知らないの。

今、いろんな病気が発症すると騒ぐけれど、その後その病気がどうなったかって説明ないんですよね。
ハンセン病も、移るから隔離されたまでは知っていても、その後はいわないから、何年経ってもハンセン病は怖い病気のままになっているから、ハンセン病が治ってライ予防法が解除されていても、周りの目はなにも変わらないという状況なんです。

この映画が上映されることで、みんなの考え方が少しでもかわってくるといいです。

きなこもちさんも、時間ができたら是非読んでみてください。(^_^)

そうそう、ハンセン病を調べた時、このハンセン病とジブリ作品との関係があるようなことが・・・・


by Mie (2015-01-16 14:12) 

ピュアリン

今は素晴らしい医療のお蔭で助かる病気がいっぱいです。
病気はなりたくてなるわけではないのですが・・・
このような隔離を必要とする病気が昔は色々と有ったのですね
肺病も明治の時代の小説家など不治の病として
亡くなっていますよね
ハンセン病 同和問題などの知識が全くありません。
何となく生きてる私ですが
奥深い問題なのですね

何だか のほほんと生きているけど  この記事で
考えなければいけない問題がいっぱいあることに
気が着きました。
by ピュアリン (2015-01-18 16:36) 

Mie

ピュアリンさん

私も、病気のことは全然詳しくないのですが、仕事をしていた時、よく同和問題のビデオを観せられて、その都度感想を求められたのですが、正直、そのビデオだけでは、なぜある一定の地域に住んでいた人が自分の住んで居る場所を言えなかったり、また結婚の時ある地域の人との結婚が認められなかったのかよくわからなかったのですが、今回この本を読んで、長年の疑問がやっと理解できたって感じです。

自分が好きでなった病気でないのに、まるで犯罪者扱いの様な人生を決して理解できなくても、その生活を受け入れなくてはいけない現実は、とても辛かったと思います。
また、自由を手にしても、周りの理解はなく・・・・というか、周りの人の知識が遅れていて、自分たちを受け入れてくれない現実は、なんとも言えないくらい悲しいものですよね。

同じ人間として生まれてきても、こんなにも差別された人生。
何とかしなくてはいけないと思いますが、自分に何ができるかと言ったら・・・・何もない。

ただ、この本を読んでこんなことが今の世の中にあるんだってことを、ブログで書くことしか私にはできないのですが、このブログを読んだ方が、少しでもハンセン病のことを知って頂くキッカケになればと思っています。(^_^)


by Mie (2015-01-18 20:54) 

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