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毛糸だま [おはなし]

以前、絵本の紹介をした中に「ハリーのセーター」という絵本の話しをした事があります。
その時、私の幼い時に母が作ってくれた毛糸のワンピースの話しをしました。
とても大好きなワンピースでした。
その話しが、先日母との会話の中で話題になり、私がそのワンピースをとても気に入っていた事を言いました。
すると母は、私の気持を初めて知り驚いていました。
それで、私の気持を「おはなし」にしようと思い、「毛糸だま」と言うタイトルでおはなしにしました。

ところが、私は絵心が全然ありません。
お話には、絵がないと成り立たない為、下手ながらも書いてみましたが・・・・下手はやっぱり下手。
でも、せっかく書いたので、絵の部分は目を瞑って頂いて、取り敢えず「おはなし」を読んで頂けたら嬉しいです。(^^)


「毛糸だま」

「みぃちゃん」
お母さんが呼んでます。

お母さんは、毛糸を手に持って、みぃちゃんを待っていました。
みぃちゃんを見ると、「あのね。ちょっとお手伝いをして欲しいから、お母さんの前に座ってくれる?」と言った。
みぃちゃんが、お母さんの前に座ると「みぃちゃん、手をこうしてくれる?」と言って、腕を前に出して見せた。
みぃちゃんが、お母さんの真似をして腕を出すと、今度は「毛糸を巻くから、しばらくそうしていてね。」と言って、お母さんがさっき手にしていた毛糸をみぃちゃんの腕にかけ、お母さんはクルクルと毛糸を巻き始めた。

IMG_2316.JPG

縦に、クルクル
横に、クルクル
斜めに、クルクル
それは、とてもリズミカルで見ていて気持よかった。

だけどその動きは、お母さんが毛糸を巻き取っているというよりも、毛糸の方から何かの形になる様に、お母さんの持っている毛糸に巻き付いて行ってる様に見えた。
毛糸は、見る見るまぁ〜るくまぁ〜るくなっていく。
アッと言う間に、毛糸の束はまんまるまるの「毛糸だま」になった。

IMG_2314.JPG

みぃちゃんが「この毛糸だま、どうするの?」って聞くと、お母さんは「どうすると思う?」って、逆にみぃちゃんに聞いた。

みぃちゃん、しばらく考えて・・・・
「あっ!! わかった!毛糸だまだるまだ!」と言って、毛糸だまの上に毛糸だまを乗せてみた。
まんまるまるの毛糸だまは、まんまるまるだからすぐに毛糸だまの上から、ころころころぉ〜んと落ちて、毛糸だまだるまにはならなかった。

IMG_2315.JPG

それを見ていたお母さんは「みぃちゃん、残念だけど毛糸だまだるまじゃないの。」
「違うの?」
「うん。今からね、この毛糸だまは別の物に変身するの。」
「えっ?別の物に?」
「そう!これを使ってね。」と言って取り出したのは、二本の細い棒。

IMG_2320.JPG


お母さんはそう言うと、二本の棒に毛糸をクルンクルンと巻き付けて行った。
棒に巻き付いた毛糸から1本だけ棒を抜き取り、今度は棒を両手に持ってハの字に構えると、またまたクルンクルンと棒に毛糸を絡ませて行った。

IMG_2321.JPG

みぃちゃんが「何しているの?」って聞くと、お母さんは「こうやって毛糸を編んでいるのよ。」と教えてくれた。

しばらく見ていると、あれあれあれ!?何やら、棒の下に毛糸がドンドン繋がっていく。

IMG_2313.JPG

お母さんが手を動かすと、毛糸と棒はまるで魔法をかけられた様に動いた。
その姿は、楽しそうにダンスをしている様。
お母さんの手は「魔法の手だ」とみぃちゃんは思った。
いったい毛糸だまは、何に変身するのかな?


何日かして、お母さんが「みぃちゃん、出来たわよ。」と言って差し出した物は・・・・

「ワンピース」だった。

IMG_2317.JPG

お母さんの魔法の手で、あの毛糸だまはワンピースに変身していた。

みぃちゃんは、大喜び。

早速、ワンピースを着てみた。

IMG_2310.JPG

ワンピースは、裾がヒラヒラして、ふんわりした袖は手首でキュッとしまっていた。
まるで、お話に出て来るお姫様のドレスのよう。
何よりも、みぃちゃんのお気に入りは、胸についてるコロコロしてふわふわのボンボンだった。

みぃちゃんの喜ぶ顔を見て、お母さんも嬉しかった様だ。

そして、みぃちゃんは思った。
お母さんが作ってくれたワンピース、ずっと大切に着ようと。


でも・・・・

みぃちゃんの思いは叶わなかった。
何故なら、ワンピースはみぃちゃんの成長と共に着る事ができなくなってしまったのです。

だけど、お母さんの編んでくれたワンピースはみぃちゃんの宝物です。
着れなくなっても、ずっと大切にしようと思いました。


しかし・・・・

ある日、みぃちゃんが学校から帰ると、どこかで見た様な色の毛糸だまがテーブルの上にあった。
それは、お母さんがみぃちゃんに編んでくれたワンピースと同じ色の毛糸だまだ。

IMG_2314.JPG

ちょっと不安になりながら、みぃちゃんは思い切って聞いた。
「この毛糸だま・・・・」って、言いかけるとお母さんは「あっ!それね、みぃちゃんのワンピースを作った毛糸。もう着れなくなったから、違う物を作ろうと思ってほどいたの。」とお母さんは言った。

みぃちゃんは、目の前が真っ暗になった。
だって、ワンピースはみぃちゃんの宝物。
着れなくなってもずっと大切にして行こうと思っていたワンピースが、みぃちゃんの目の前から突然影も形もなくなってしまったのですから。

みぃちゃんは、思います。
お母さんが、毛糸だまに魔法をかけて作ってくれたワンピース。
魔法をかけられて行く毛糸だまを見ている時は、あんなにワクワクしていたのに、魔法が解けてしまい一瞬にして元に戻ってしまった「毛糸だま」を見るのは、まるでシャボン玉の様に切ないものだと。

しばらく黙って「毛糸だま」を見つめていると・・・・

なんと、目の前にある「毛糸だま」の影が、あの大好きなワンピースになっていた。

IMG_2318.JPG

しかし、それはみぃちゃんの思い過ごしです。
きっと、ワンピースへの思いが影になったのだ。


でも、その時みぃちゃんは気付きました。
形ではない。
みぃちゃんが宝物と思ったワンピースは、「大切な物」という気持を持ち続けている限り、たとえ「毛糸だま」に姿は変わっても、ずっとみぃちゃんの心の中にあるのだということを。
















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コメント 16

わんわん

Mieさん、絵心ありすぎですよ〜ヾ(≧∇≦)ノ
これ、そのまま絵本に出来ますよ〜お母様にも是非見せて差し上げてね!絶対に喜ばれます♪
本当に素敵なお話で感動しました!!
by わんわん (2013-02-22 23:03) 

小梅姉

↑同じく、絵心あると思います(^^)
優しいタッチの絵が、お話とぴったり合っています。
心が大切なんですね~。
by 小梅姉 (2013-02-23 06:47) 

Mie

わんわんさん

いやぁ〜そんなに褒めて頂くと、恥ずかしいです。
本当に、人へ見せられるような絵ではないのですが、ただ「おはなし」を読んで頂くよりは、下手でも何か絵があったら分かりやすいかと思い付け加えてみましたが、「感動した」と言って頂いてとても嬉しいです。
ありがとうございます。(^^)

来週、母に見せようと思っています。
どんな反応を示してくれるのか、楽しみです。(^^)





by Mie (2013-02-23 13:59) 

Mie

小梅姉さん

うぅ〜ん、褒めて頂くと嬉しいです。(^^)
でも、絵心は・・・・
絵が上手なら、背景まで描きたい所なんですが、これがいっぱいいっぱいです。(> <)
でも、「優しいタッチ」って言って頂いて・・・・・

変な自信が湧いて来そう!!(笑)

そうなんですよね。
大切な事は「物」ではなく「気持」であり「心」なんですよね。
これは、全てに通じている事だと思います。


by Mie (2013-02-23 14:14) 

Rita

こんばんは。
と~っても、あたたかくて微笑ましいお話しですね(∩.∩)
絵も、お話しにピッタリ合って素敵です~☆彡
これからも、お話し楽しみにしております。
by Rita (2013-02-23 18:45) 

Mie

Ritaさん

ありがとうございます。(^^)
文章能力も絵心も何もないのですが、この年になって何か周りを気にする事なく、自分の素直な気持を現したくて、おはなしを書きはじめたのですが、褒めて頂くと嬉しいです。(^^)

今度は、どんなおはなしが書けるかわかりませんが、出来るだけ続けて行こうと思っていますので、その時も是非読んで下さいね。(^^)


by Mie (2013-02-23 20:50) 

ナビパ

優しさあふれる素敵な絵たちです。
こちらまでお話と絵で心和まされましたよ。^ ^
良き思い出なのではないのでしょうかd(^_^o)
by ナビパ (2013-02-24 09:58) 

Mie

ナビバさん

ありがとうございます(^^)
思い出を、まさか「おはなし」にするとは自分でも思っていませんでしたが、ずっとずっと心の中にあった、このワンピースを書く事で何か心の整理が出来た様に思います。(^^)


by Mie (2013-02-24 16:22) 

yann

味のある、可愛い絵です^^
お話もなかなかのものですね~
by yann (2013-02-24 18:43) 

Mie

yannさん

まるで小学生なみの絵で(小学生に怒られるかしら? ^^;)、とても恥ずかしいのですが、「味のある」なんて言って頂いてうれしいです。
ありがとうございます。(^^)

自己満足の世界ですが、それでも褒めて頂くのは嬉しい。

大人でも褒めて頂くと嬉しいのですから、子供を褒めるって大切な事ですね。
なんて、ちょっと話しがそれてしまいました。(^^;)

みなさんに読んで頂けるだけでも嬉しいのですが、コメントを頂けるのは有り難いです。
ありがとうございます。(^^)

by Mie (2013-02-24 21:30) 

ふゆもえ

変な絵心あると、かえって純粋な絵が描けないと
思います^^;(私が描くとマジマンガになる><;)
ほんわかなお話にとてもお似合いの挿絵ですよv
by ふゆもえ (2013-02-25 17:35) 

Mie

ふゆもえさん

ありがとうございます。(^^)
純粋過ぎません?
小学校から、全然進歩してません(^^;)
この絵を披露してしまったからには、もうリアルに誰ともお会いする事は出来ません。(- -;)

でも、漫画描けるならいいですよ。
私漫画でも何でも、動きの伴う絵が描けない。(^^;)
ふゆもえさんの漫画観てみたいですね。(^^)

by Mie (2013-02-25 21:04) 

うさこ

ほんとうみなさんおっしゃっているよう
mieさん画も上手です(*≧∀≦*)

みーちゃんがワンピースを着たときのお顔がかわいいです

うちの母も器用で、子供のころセーターを編んでくれました子供ながらに柄とか覚えてるんですよね(^^)思い出しました
ありがとう。。。
by うさこ (2013-02-26 16:16) 

SHINOBU

手編みの暖かさが伝わってきますね!!
久しぶりに編み物をしたくなりました。

私もセーターとかボレロとか編める技術が欲しいです!
残念ながら、簡単なものしか作れないんですよね。
前に一度コサージュを作りましたが、編み物を普段しないので、もう作り方すら忘れてしまいました。。。

もう一度、編み物ができるようになりたいです!
by SHINOBU (2013-02-26 23:22) 

Mie

うさこさん

ありがとうございます。(^^)
でも、何か恥ずかしいです。(^^;)

昔のお母さんて、本当によく色々な物を手作りしてくれましたよね。
だから、子供の時の思い出って沢山あります。
うさこさんのお母さんも色々な物を作って下さったんですね。(^^)
そう!
作って貰ったものって、よぉ〜く覚えていますよね。
先日母に、このワンピースもですが、その他にも作って貰った服の話しをした時、「子供が自分の作った物をこんなによく覚えてくれていたとは思わなかった。嬉しい。」と言って泣いてました。
泣かれても困るんですが、親ってこんな事が嬉しいんだと思いました。

うさこさんも、お母さんに思い出の手作りの品を話して見ると、結構喜んでくれるのでは・・・・親孝行ってところでしょうか。(^^)



by Mie (2013-02-27 06:38) 

Mie

SHINOBUさん

昔のお母さんは、何でも出来て本当に「お母さん」と言う言葉相応しいですよね。
母は、姉に色々教えていましたが、私は野放し!
姉への期待が凄く大きかったので・・・・笑。
お陰で私は、自由に自分で考えながら色々手を出してきたので、何となくなんでもやるのですが、母の様にはまだまだ。(- -)

SHINOBUさんは、色々チャレンジ(研究)されていますが、編み物も好きなんですね。(^^)
編み物は、これから段々暖かくなってきますからレース網なんて良いかもしれませんよ。(^^)


by Mie (2013-02-27 06:52) 

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