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せつない時の涙☆ [雑感]

人生、結構長く生きておりますが、今までに「せつない」という言葉を使ったことはありません。
でも、今のこの気持ちを言葉で表すとしたら、どんな言葉が適しているかと色々考えてみたところ・・・・
一番近い言葉、それが「せつない」という言葉だと思います。

そして、この「せつない」時というのは、嬉しい時や悲しい時辛い時様々な時に流す涙とは違い、意識なくして涙が流れてくるのだと実感しました。

さて、突発から何を言ってるのかと言いますと・・・・

以前、「あん」という本を紹介させて頂きましたが、その本が映画となって5月30日公開されたんです。
ずっと、映画が公開される日を待っていまして、公開初日に映画を観るなんて私はないのですが、本当にこの映画が観たくて、公開初日の一番で映画を観させて頂きました。

IMG_1457.JPG


「あん」は、ハンセン病を背景に生きる事の意味について書れた本です。
(って、言っていいのかなぁ〜)

ハンセン病、知っている人知らない人が存在する中で、これを映像化するというのはいろんな意味で難しいのではないかという思いを持ちながら、どう映像化するのかどうしても観たかったんです。
そして、本の紹介の時にも書きましたが、ヒロインの吉井徳江役は樹木希林さんがぴったりというか、文章を読んでいても、私の中で自然と樹木希林さんが存在していたので、益々映像の中で吉井徳江役の樹木希林さんも観たかった。

そして、映像の中の吉井徳江演ずる樹木希林さんは・・・・
素晴らしかった!!

映像の中の樹木希林さんは、吉井徳江を演じているのではなく、もう本人の吉井徳江さんでした。
まるで、ドキュメンタリーの様で凄いと思いました。

原作者のドリアン助川さんは、この「あん」の物語を書く時からヒロインのビジュアル的イメージとして樹木希林さんを思い描きながら書いたそうなんです。
(だから、尚更樹木希林さんが浮かび上がってきたというのもあるのかもしれませんね。)

丁度、映画を観に行く朝、ある番組に樹木希林さんが出演されたんです。
「あぁ、今日映画が公開されるから出演しているんだ」と思い、番組をみていたんですが、映画を撮るにあたって、監督の河瀬直美さんから撮影する時だけ吉井徳江になるのではなく、ずっと吉井徳江でいてくださいとお願いされていたそうです。
でも、ずっとなんてできないから切り替えていたと言ってましたが、映画の中で観た樹木希林さんは吉井徳江さんそのものでした・・・・というのは変ですよね。(⌒-⌒; )
私は、吉井徳江さんというかモデルになった方をしらないのですから。
でも、そう思ってしまうくらい吉井徳江さんだったんです。

普通に生活していた一人の少女が突然「ハンセン病」とい病にかかり、生まれた時に貰った名前を奪われ、家族とは別の人間として生きていかなくてはならず、社会と隔離される生活を強いられる。
その時の吉井徳江さんの気持ちは、同じ環境にいない私たちには想像するなんてことはできないですが、樹木希林さんは、まるで当事者の様に演じているんです。

原作者のドリアン助川さんが、樹木希林さんにこの役をお願いした気持ちがよくわかりました。
この映画では、役を演じていては、観ている者の心に伝わってこなかっただろうし、何よりも台詞だけではなく、言葉のない表現が大切。

本を読んだ時、泣きました。
(泣くべきところで。)

そう。
本を読んだ時は、「これは、泣くでしょ」思うところで泣くんです。

ところが、映画では決して本を読んだ時に泣かなかったところで泣いてしまった。

それは、吉井徳江さんを演じる樹木希林さんの表現力から、吉井徳江さんの心の中が見えたからなんです。

何よりも自分の流した涙に驚きました。
自分でも気がつかないうちに、涙を流していたんです。
涙ってこんな出方をする事がある事を知りました。
頭の中で考え想像して流す涙ではなく、胸が締め付けられるような・・・・「せつない」思い。

そんな時、心が涙を流すのかもしれないですね。

私は、映画を見て思ったことなんですが、何の問題もない五体満足な人間に限って、人生を大切に生きていないのではないかと。

そして、この世界のことを何も見えていない。

吉井徳江さんが、どら焼き屋「どら春」の店長に言った言葉があるんです。
「この世を見るために、聞くために生まれてきた。だとすれば、何かになれなくても生きる意味がある」

今は、いろんなことに恵まれ過ぎて、この世の中をちゃんと見て、聞いている人がどれだけいるでしょう。

鳥の鳴き声に、耳を傾けたことがありますか?
風の音に耳をすませたことがありますか?
草の匂いを感じたことありますか?
土の匂いを感じ触れたことことありますか?
道の片隅で、一生懸命咲いている花に気がついてますか?

この世の中に、ある見慣れた物でもちゃんと自分の五感を使って、見たり聞いたり触ったり嗅いだり感じたりしている人、どれだけいるかしら?

生きる意味は、そんなに大きなことはなくて、ごくごく普通のことをしているかどうかなのかもしれなくて、それはとっても大切なことなのではないかな。
と、思った私です。


さて、映画を見終えた後も涙が止まらず、涙を拭き拭き出て来ると・・・・

どんな映画もビジネス。

こんな物を売っていたんです。

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映画の中で、どら焼き屋さんが舞台になっているので、そのどら焼きを売っていたんです。
と言っても、「どら春」のどら焼きとは全然違って、袋の中のどら焼きは・・・・

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「あん」という文字の焼印が入ってました。(笑)

どら焼きの皮がもちもちしていて、結構美味しかったです。(^_^)☆









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きなこもち

mieさん映画『あん』ご覧になったんですね。
公開初日とは…すごいですね(笑)

以前mieさんにご紹介していただいて
『あん』私も泣きながら読みました。
本当に色々考えさせられました。
最近テレビで映画の宣伝もあり
樹木希林さんを良くお見かけして…
(同じテレビを見たと思います)
あぁmieさんが言っていた映画が
公開なされるんだなぁ~!
観たいなぁ~って思っていました。

生きる意味はそんなに大きなことはなくて
ごくごく普通のことをしているかどうか…
本当にそうですね。
毎日当たり前の様に生活して生きている事
が一番大切な事なのかも知れませんね。
見慣れた物…自分の五感を使って色々見たり聞いたり
感じたり…してないですねぇ…!
何か五感も鈍くなった気がします。

『どらやき』流石ビジネスですね。
つぃつぃ観終わって買ってしまう心理を
ついてますね(笑)









by きなこもち (2015-06-02 14:33) 

Mie

きなこもちさん

観に、行ってきました。(^_^)☆
本で読んだ時も、「生まれてきた意味」とか「生きる意味」とかを考えさせられました。
人には、生きてきた意味がある。
自分は、何のために生まれてきたのか、それが見つからなければ、生きる意味はない・・・・のかも。
でも、その生まれてきた意味は、生きている時には見つからないしわからないかもしれない。
だけど、それでもいいのかもしれないみたいなことを思ったりしました。

生まれてきた意味に特別な物がある様にも思っいましたが、この映画を観て、そんなに大それたことではないということを、吉井徳江さんの言葉を聞いて・・・・とっても楽になった自分がいました。

でも、生きる意味はそんなに大それた事はないけれど、毎日スマホの画面に目を奪われ、歩く時も一点にしか目をやらない。
ゲームばかりやってゲームに振り回されている子供達。
そんな生き方をしている人たちには、自分がどんなに恵まれているか、幸せなのかなんて事にも気づかない。
とっても、もったいない事。

「この世を見るために、聞くために生まれてきた。だとすれば、何にもなれなくても、生きる意味がある。」
こういう事が言えるのは・・・・というか、こういう事を感じ取れるのは、社会に隔離された世界に閉じ込められことで、「生きる意味」を探したんですよね。

私たちは、なんでも自由に出来る。
無駄な生き方だけはしたくないですね。

そうなんです。
もう、胸いっぱいでなかなか涙が止まらず扉の外にでたら、どら焼きうってるんですもの、笑っちゃいました。
「もう、やるなぁ〜」と言いながら、どら焼きを買う列に並んでいた私です。(笑)

この映画の映像が、桜満開の春から木々の葉の彩り鮮やかな秋までの季節を撮っているんですけど、とっても綺麗なんです。
吉井徳江さんが、隔離されている世界から壁を越えて、自分が憧れていた世界へ踏み出した春。
そして、彼女が静かにこの世界を去る秋。
あぁー、こうして書いていても涙がでてきます。

もし、きなこもちさんも機会がおありでしたら、是非観てくださいね。(^_^)☆


by Mie (2015-06-02 15:37) 

ナビパ

樹木希林さんが主役でと読んだ時になんとなくピッタシな役柄だなって思ったらその通りだったのですね。ご本人も辛い思いをなされていますものね。
せつないなって思う時って自分のことではなく家族や知人に重大なことが起きたりすると思うことあります。どうにかその人を勇気付けたり役に立てないかなと。。。
自分のことだと辛いなって思うのでしょうね。
by ナビパ (2015-06-02 18:08) 

SHINOBU

私も映画館で、けっこう泣くタイプです。
明るくなって、他の人がいたことを思い出して急に恥ずかしくなったりします!
でも、見てるときは、そのことを忘れてしまうくらい集中してるんですよねぇ~
お話にのめり込んで見れる映画っていいですね!
by SHINOBU (2015-06-02 21:29) 

Mie

ナビバさん

演技というのは、観ている方が「あぁ、上手く演じているな」と思うような演技は、やっぱり演技なんですよね。
演技なんだけど演技として見えない演技とでもいうのでしようか、本当に樹木希林さんは吉井徳江さん本人でした。
すごいです。

言葉ではない目に見えない気持ちを表現出来る人というのは、確かに色々な経験を積み重ねてきているってことなんでしょうね。

今は、ハラハラしたり恐怖を感じさせたり、どこか刺激的な映画が多く、その刺激は正直現実の中で悪い方へ導く様な気がするんです。
もっと、人間として生きて行く中で大切なことをもっと考える機会を作ってくれる様な映画が増えて欲しいです。

今は、テレビとかいろんなツールで世の中の情報を得る事が出来る時代なのに、自分の知らない所にこんな世界があったなんて私は初めて知りました。

自分に何か出来るとは思いませんが、少なくても世の中に色々な人がいて、色々な環境があるという事に目を向けていかなければいけませんね。

「せつない」という思いから、一歩踏み出せる人間になれたらいいと思います。

by Mie (2015-06-03 08:22) 

Mie

SHINOBUさん

私も、映画を観ながら泣くんですが、でも・・・・泣きそうになると、始め堪えるんです。
そう「泣きそうになると・・・」涙が出るって自分自身わかるんですよね。
でも、今回は「泣きそう」とか「泣かない様に堪えよう」なんて考えはなく、気がついた時には涙が流れていたって状態。

私は、観に行く映画って、結構先に本で読んでいたりする事が多いんです。
だから、自分の中のイメージと違うと、逆に冷静な見方をしてしまうんですけど、「あん」は本のイメージ以上で・・・・
だから、その中に入り込んでいって無意識の涙が流れたのでしょう。

それにしても、映画の中にのめり込んでいて、映画が終わって現実の世界にパッとは戻れない。
結構帰りは、厳しい。(笑)

それから、涙の止め。
「あん」の最後に流れる歌がたまらないの。
泰基博さんてご存知ですか?
「ひまわりの約束」を歌っている人なんですけど、今回「あん」の主題歌として「水彩の月」という歌を歌っているんですけど・・・
この歌を最後に聞いて、更に泣いてしまうんです。

もし、よろしかったら「あん」を観てみてください。(^_^)☆

by Mie (2015-06-03 08:38) 

エンジェル

涙を流せる映画は久しく観に行ってないと思います。Mieさんが初日にまで観に行かれた映画「あん」にとっても興味を持ちました。時間があれば観に行きたいです。
樹木希林さんは全身癌に冒されていると公表されて久しいですが、お元気に活躍されていて素晴らしいですね。
by エンジェル (2015-06-03 12:23) 

Mie

エンジェルさん

映画の公開を、こんなに待ち望んだ事って、今までにないくらい待ってました。(笑)
この映画を観に来ていらっしゃったお客さんの中で、この物語がどんなものか、わかってて観に来た方って、どれくらいいらっしゃったのか・・・・
場内を見て思いました。
私も、本を読む前には和菓子の話なのかと思っていたくらいですから。

ハンセン病にかかわる話と知って驚かれた方も多かったかもしれませんね。
でも、とっても綺麗な映像なので、観て損はないです。
きっと、観た後心が洗われる思いになると思います。(^_^)☆

樹木希林さんの演技は、樹木希林さんだからこそ演じられたんですね。
全身癌におかされた事によって、「生きる意味」も樹木希林さんご自身なりの考えを表現出来たのかもしれませんね。

by Mie (2015-06-03 16:24) 

小梅姉

当たり前の日常に、もっと感謝しないといけないのかなぁ・・・
自由があり、とりあえず健康であること、上を見ればキリがありませんが
帰れば舞凛が、笑顔で迎えてくれること。何事にも、感謝ですね。
最近、涙もろくなりましたんで^^;WOWOWで、やらないかなぁ?

by 小梅姉 (2015-06-04 22:39) 

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