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あつあつを召し上がれ☆ [読書]

先日、ニュースを観ていると「こども食堂」という言葉が耳に入ってきました。
「こども食堂」。
最近は、色んなコンセプトのお店が出来ているので、また何か子供を焦点に置いたお店がオープンしたのかと観ていると、思っていた事とは違い、もっと深い話のものでした。

今の時代は、昔と違ってみんなが豊かな生活が出来ているのかといえばそうではないんですね。
まだまだ、貧しい家の子供が多く、満足な食事の出来ていない子供が多い様なんです。
満足な食事が出来ない理由も色々あるのでしょうけれど、シングルマザーの子供で収入が少なかったり、両親が遅くまで働いている為に食事を作ってもらえず、コンビニで食べ物を買い一人で食事をしなくて、十分な栄養が摂れていない子供が多く、そんな子供たちにちゃんとした食事を提供する活動として、「子供食堂」開いているボランティアの方々がいるんだそうです。
そして、そんな活動の輪を広げていこうということで、説明会があったという事をニュースで言ってました。

人間は、食べ物を食べて命をつないで行く。
食べなかったら、私たちは生きていく事ができない。

でも、物を食べる意味は、それだけではない。
物を食べる事で、心を豊かにし、笑顔を作っていく。
そして、味を後の世に継承する役割もあるんです。
物を食べる事は、本当に大切な事で決していい加減にしてはいけない事・・・・

なんですが、こんなに物が豊富で色んな食べ物があるのに、何故かギスギスした人間が多く、トラブルだらけの世の中になっています。
心の病気の人も年々増えていってます。
どうして何でしょう?


私は、食べ物を題材にした本を読むのが好きです。
読んでいるだけでも、その作り出される料理の過程を読みながらどんな物が出来上がるのかの想像と、その作り出された料理の味やの美味しさが伝わってきたり、作ってくれた人の心が伝わって来る。
そして、気がつけば知らず知らずのうちに心が温かい気持ちになって笑顔が溢れる。
本当に、幸せを感じるんです。

「食べる」って、とっても大切。
でも、もっと大切なのは「ちゃんと」食べるって事なんですよね。

今は、自分の好きな物を好きな時に食べる事ができます。
だから、お腹がすくと自分の食べたい物を買って食べる事ができますが、本当に「ちゃんと」とした食事をしている人ってどれだけいるのでしょう。

「あなたは、ちゃんとした食事をしていますか?」
「お腹を満たすだけの食事で済ませていませんか?」

ある本に書いてありました。
「ちゃんとした食事」というのは、お腹を満たすだけの食事ではなく、三食きちんと食べて、食べる内容も栄養を考えたバランスの良い食事をいうのだと。

多分、今の方々は「ちゃんとした食事」されている人は少ないと思います。
気がむいた時に、お腹を満たすだけの物を食べる。
好きな時に、勝手に食べる食事は、家族とのコミュニケーションのない食事。
人の心を育てる事などできないんですよね。
そして、お母さんの心のこもった手料理を食べてこそ、お母さんの愛情を感じ、食べた者の心を温め豊かな気持ちを育てるんです。

段々そうゆう環境がなくなってきて、家族がバラバラになり、人の心がわからなくなる人が増えてきているのではないかと私は思っています。

だから、この「こども食堂」というシステムは、そんな今の環境を直していくのにとてもいい事なんですよね。(本当は、お母さんがいいんですけど)

この「こども食堂」で食事をしていたある女の子が、「この食堂で食べさせていただいた事で、とても救われた」と言ってました。
食べれないって事くらい辛く寂しい事はないですものね。
そして、今その女の子は、「こども食堂」でお手伝いをしたりしていました。
美味しいご飯を食べさせていただいて、そのお礼として自分のできる事をしたい。
それが、食堂でのお手伝い。
誰かが言ったわけでもなく、そういう心が芽生えるっていう事も、食べ物を食べる事で心が豊かになって優しい気持ちに繋がっていった証拠。

多分、ここで食事をした子供達は、大きくなってこの食堂で食べた温かな食事を一生忘れないですよね。

「食」って、それだけ大切なものなんですよね。


さて、随分長くなってしまいましたが、今回ご紹介する本。
それは、「あつあつを召し上がれ」といいます。

IMG_1899.JPG


小川糸さんが書かれた本です。

小川糸さんと聞いて、「あぁ、食堂かたつむりを書いた人ね」とすぐにわかった方もいらっしゃると思います。
「食堂かたつむり」も、食べ物に関する本ですね。
自分の食堂を持つ事を夢見て、彼と一緒に頑張って働いて、あともう少しで夢が実現するという時、それまで貯めてきたお金を全て彼に取られ逃げられてしまう。
そのショックで失語症に成ってしまい、田舎へと帰る。
そこで、実家の物置小屋を改装して小さな食堂を開く。
彼女の作った料理を食べると、みな素直な心になり温かい気持ちになって幸せになる。
と言った話。

私は、この本が好きです。
でも、映画も観てしまい、「食堂かたつむり」って聞くと、映画の中で「あの子は、誰? だぁ〜れ?あの子は倫子♪」という歌が頭の中を駆け巡る(笑)


この話の最後は、結構衝撃的な結末ではありますが、食材を大切に、食べる人への愛情を込めて作る事の大切さ。
食べ物を食べる事の大切さだけではなく、私たちは色んなところからいろんな恵を頂くわけで、その感謝の表し方はこんな形もあるって事を教えてくれる。

「食」という一つの行為は、お腹を満たすだけではなく、思い出としてずっと残る物であったり、家族の絆を作る物であったり、味を継承していく物だったりと、本当に色々な形に変わっていく物。

この「あつあつを召し上がれ」という本では、七つの物語が書かれた短編ですが、色々な食べ物が人それぞれにどんな影響?を与えたのかという事が書かれています。
どのお話も、誰もが「あるよねぇ〜」って思えるお話で、そして色んな意味で、食べる事の大切さを感じてもらえるお話だと思います。

とても薄い本なので、アッという間に読めますので、是非手にとって頂ければと思います。(^_^)☆







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